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Saturday, September 14, 2019

ASUSのPC(U303XL)のCPUグリースを塗りなおしました

CPUグリース塗りなおしでパソコンの温度が下がるかも

パソコン(PC)を仕事に遊びに使っている人は大勢おられるとおもいますが、日常のお手入れはどうしていますか?日本ではもはや家電と呼んでも差し支えないほど普及していますが、実は他の家電とは異なりPCはメンテナンスが必要です。一番多いPCの問題が、本体内部に溜まるホコリです。PCのホコリは、溜まると排熱効率が低下し、CPUなどの温度上昇による動作の低速化が引き起こされます。さらに重要なのが、PCの発熱機関であるCPU/GPUの排熱を効率化するためのグリースの塗り替えです。詳細は本文を読んでもらえれば分かりますが、CPU/GPUを冷やすことがPCのパフォーマンスを維持するためには重要であり、その冷却の効率を高めるのがグリースです。もちろん、PCのカバーを開けるなどの操作は、場合によっては保証の対象外となるため保証期間内では推奨されません。ここでは5年ほど使った古いPCについてのメンテナンスについて紹介したいと思います。また、紹介している手前心苦しいところですが、自己責任での操作をお願いします。

PCカバーを開ける

PCのカバーは、多くの場合ネジで止められているだけなので、これまでの経験では比較的簡単に開けることができます。ただし、ねじの形状が特殊な場合もあるので、できればさまざまなネジに対応したドライバーセットを準備しておきたいところです。

例えばこういうの。

開けてみる

では、さっそく開けてみます。PCの内部にアクセスする場合は、静電気に気を付けてください。基盤むき出しの状態で、静電気が発生すると最悪基盤が破壊されます。壁などを触って静電気を逃がしてから作業してください。また、バッテリーが接続されている間は感電の恐れがあるので、極力金属部分には触れずに作業してください。今回メンテナンスするPCはASUSの5年くらい使っているUX303Lです。見えているネジを全部開ければ開く、、、かと思いきや引っかかって取れません。実は隠しネジがあるためです。ちょっと勇気がいりますが、普段使っている向きから奥側、写真上側のゴム足の裏に隠しネジがあるので、マイナスドライバーなどで慎重にゴム足を引っ張りだしてください。ゴム足は接着剤で固定されているので、べりべりと嫌な音がしますが、心を強く持って引きはがしてください。引きはがしたゴム足は、元通りにはめ込めるほどには接着力を維持しているので、ホコリがつかないように気を付けてください。ゴム足を外すと、その下にネジがあります。これを含めてすべてのネジを外せばカバーを開けることができます。ここでPCのメンテナンスのコツとして、ねじは大まかに外した位置に並べておく、ということを心がけています。皿などにネジを置いていくときに、大体でいいので外した位置関係を反映するように並べておくと組みなおす時に便利です。
裏側の写真。赤丸が初心者殺しの隠しネジの場所。

バッテリーを外しておく

まずは感電などの事故を防ぐために、バッテリーを基盤から外しておきます。写真の赤い四角で示すコネクターを外します。マイナスドライバーなどで隙間を上に持ち上げると外すことができます。
バッテリーと基盤の接続

中身にアクセス

実はこの記事、HDDからSSDへの換装という内容にしようと思っていたのですが、どうせここまでやるなら掃除まで案内した方が役に立つと考え、グリースの塗りなおしの記事にしました。SSDの換装はそこまで難しくなく、インターネットを調べるとやり方が紹介されている記事も多く見つけられます。コツとしてはHDDが乗っている台ごと外して交換することですね。あとはバッテリーのネジも外しておけばバッテリーの裏に入り込んでいるHDD台を外すことができます。ここでは省略しますが、気になる人は”UX303L、分解”などで調べてみてください。ちなみにHDDからSSDに換装すると実感で変化がわかるほどPCの動作がきびきびします。古いPCを使い続ける場合はぜひトライしてみてほしいです。
カバーを開けたところ。赤丸はHDDからSSDに換装するときに外すネジ。もっとあったかも。。。

グリースを塗り直し

多くの場合はここで掃除してまたカバーをして終了、となるのですが、せっかくなのでもうひと頑張りしてみましょう。写真のネジを外すと、2つのファンに向かって伸びているヒートパイプを外すことができます。外し方は写真の下側のヒートパイプを少し持ち上げると、写真上方向に向かってヒートパイプ全体が外れます。
ヒートパイプを外す。ネジを外したら少しだけ持ち上げて上方向に動かす

グリースを掃除して新しいのを塗りなおす

このUX303LというPCは、CPUのほかにGPUも搭載しているので、2つの部品がヒートパイプによって熱がファンの部分に運ばれて冷却される機構になっています。ヒートパイプを外すとおそらく紙粘土のようになったグリースがこびりついていると思います。ちなみにPCのCPU・GPUは恐ろしく発熱する部品であり、基盤上で冷却することは困難です。デスクトップPCでは可能な場合も多いのですが、ノートPCは部品が混みあっているため、普通は不可能です。そのためノートPCのCPUが発する熱は、ヒートパイプと呼ばれる熱伝導性の高い部品(多くの場合銅製)に受け渡された後に、PCの外部に向けて風を起こすファンによってPCの外に捨てられます。この機構においてグリースは、CPUなどの超発熱体とヒートパイプをできるだけ密着させ、熱を効率よく伝えるため役割を担っているため、グリースの性能はPCの性能を引き出すためにとても重要です。ただ残念なことに、グリースはセットされて3年くらい経つと乾き始めて、熱交換効率が低下するようです。こうなるとCPU/GPUが適切に冷却できず、PCの性能が事実上低下します。そのため、PCを長く快適に使うためには、グリースの塗り直しは重要なメンテナンスであるといえます。では、実際に塗り直しをしてみましょう。左上が外したヒートパイプの裏側、CPUとGPUに接している面、右下の赤い四角で囲っている場所がグリースを塗る必要がある場所です。紙粘土のようになってしまったグリースは、ティッシュなどである程度取り除き(完全に除こう、と肩ひじ張らずに、大体掃除できれば問題ありません)、新しいグリースをCPU(場合によってはGPUも)にたっぷり塗りましょう。グリースは一回使い切りのものが使いやすくて気に入っています。写真にあるようにヒートパイプをもとあったように載せて、もしその際にあまりにも多くのグリースがはみ出すようならば、ティッシュなどで取り除いてください。ただ、CPUグリースは絶縁体でできているので、そこまで神経質にならなくても問題はないようです。

例えばこういうの。

*ヨドバシカメラでは一個から送料無料で購入できました。
グリースをしっかり塗る

元通りに戻す前に

あとは外した手順を逆に進めるだけですが、せっかくですのでPCの中身全体をエアダスターなどで掃除しておきましょう。ホコリは冷却用のファン、ファンから出る空気の出口部分に特に多く蓄積しています。また、内部全体に満遍なく溜まっているホコリについても吹き飛ばしておきましょう。インターネットで調べると、筆や刷毛などを使って掃除をしている場合も見られますが、あれは分かっている人がやる操作です。初心者は大人しくエアダスターを使いましょう。静電気が発生してとても危険です。

最後に

PCのメンテナンスは、カバーを開ける、掃除をする、(できれば)グリースを塗り替える、抑えておけば十分だと思います。PCが壊れる前にこの3つを実践して、快適なPCライフを送りましょう。また、HDDからSSDの換装もしておけば、快速PCになること請け合いです。ASUSのU303XLは比較的簡単でしたが、この後同じようにグリース塗り直ししたマックブックプロは難易度が半端じゃなかったので、それも記事にしたいと思います。


Friday, September 13, 2019

テラベースを自作してみる(1)

テラベースを自作してみる

*筆者はテラベースという商品およびADAに敬意を持っています。今回は純粋に研究の一環としてその原理を知るために今回のプロジェクトを思いつきました。本文を読んでいただければわかりますが、テラベースの価格はかなり良心的であるため、自作するメリットはほとんどありません。興味のある方は、ADAの特約店でのご購入をおすすめします(ADA商品は通販では購入できません)。

テラベースとは?

テラベースという新しいアクアリウムの道具が発売されました。正確にはピバリウムと呼ばれる高湿度の環境に適応した植物、例えばコケやランなどをおしゃれに部屋に配置して楽しむためのツールですね。ADAのDOOAというブランドから発売されています。価格はおよそ3000円と、他のADA製品と比べると安価に手に入る商品になっているのではないでしょうか。

さて、このテラベースですが、コップのような形状になっており、そのコップの中に水を入れておくことで、中の水が外に染み出してくるという構造になっています。そうすることで染み出した水が表面のコケなどに供給され、徐々に成長させることができるようです。非常にユニークな発想ですが、”染み出す”というキーワードがひっかかりました。もしかしてこれって、素焼きの性質を利用している商品なのでは?

ご存じの方も多いと思いますが、素焼きの植木鉢などは水分を少しだけ通すことが知られています。その性質は乾燥を好むような植物を育成する場合には良い環境を提供できますし、逆に水分を長期間十分に保持したい場合にはコーティングしたりすることで水分の漏出を防ぐ必要があります。つまり上記のテラベースの性質はこの素焼きの鉢の性質と類似している点があると考えたのです。

作ってみました

材料たち
早速試してみました。購入したのは素焼きのハムスターの隠れ家(400円くらい)と、トンネルの片方を埋めるための耐水性のあるエポキシパテ(700円くらい)です。まず鉢底ネットをトンネルとほぼ同じ大きさに切りだしました。念のために2枚作製しました。この鉢底ネットにエポキシパテを塗り付け、ハムスターの隠れ家に固定します。およそ24時間で固まるそうなのでそのまましばらく放置しました。
鉢底ネットを設置
途中経過(左)と完成品?(横、底、上から見たところ)

完成・・・?

とりあえず現時点での感想は、「コレジャナイ」の一言です。見た目が本物と似ても似つかない、ひどいオブジェができてしまいました。作っているときには、「どのみちコケに覆われるし、色が違っていてもまあいいか」という軽い気持ちでやっていたのですが、いざ完成品を目の当たりにするとかなり引きますね。大きさが違うからなどという言い訳は通じません。やはりADAの商品はスタイリッシュです。

マネというのもおこがましい(右は本物)

実験スタート!

何はともあれ、当初の目的である「テラベースは素焼きの性質を利用している」という仮説を検証するために、自作の地獄オブジェと、本家本元のテラベースに同じようにウィローモスを巻き付け、育成を開始します。

Saturday, September 7, 2019

水草を水上栽培で維持するコツ


ストック水槽は維持が大変


水草ストック水槽という言葉を聞いたことがありますか?そもそも水草水槽が何かを知らない人にとっては意味不明な言葉だと思いますが、これはその名の通り水草をストックしておく水槽のことです。“水草”を“ストック”?これでは何の説明にもなっていないので、本題に入りたいと思います。普段水草水槽を維持していると、必要になるのがトリミングです。トリミングとは、伸びすぎた水草を切る散髪みたいなことで、将来的に成長した姿を想像して刈り込む必要があるため、やり方はひとそれぞれ、センスを問われる作業だと言われています。では、切り取った水草はどうなるのでしょうか。捨てますか?もちろん捨てる場合もあるかと思いますが、水草はほとんどが切り戻し(植物の枝や葉などから新しい個体を増やすこと)で繁殖させることができるので、トリミングを行うことで切った水草はほかの場所に植えると再びそこで根付き、成長していきます。そのため、切った水草を別の場所に一旦移してあげることで、新たに水草のある水景を楽しむことができるわけです。もちろん、別の場所に移しておくことで病気の発生や突発的な事故により水草が全滅した場合でも、新しく水草を買いなおすことなく水草水槽の趣味を再開できるメリットもあります。ですが、やはり大きなデメリットはずばり「場所」を食うことです。トリミングの度に少なくない量の水草が生じるため、全て保存するためには本体と同じもしくはそれ以上に大きな水槽が必要になる場合もあるでしょう。場所の問題から水草ストック水槽を持てない場合、成長が早い水草はぽいぽい捨てても良いかもしれませんが、ブセファランドラの仲間など、成長速度が遅い水草を捨てるのは勇気がいりますし、何よりもったいないですね。そこで、楽して不急不要な水草を維持する方法として、最近流行りの兆しを見せているのが、水草の水上栽培です。 

水上栽培とは?


水上栽培は水草を水中ではなく水上、つまり普通の草花と同じように生育させるやり方で、重量のある水槽を用意することなく、場合によってはベランダなどの外で水草を維持できるという報告も多くあります。水上栽培のやり方は多くの人がネット上に挙げているように、一般の園芸で使われるような花壇の土などに水草を植えることで、普段目にする草花のように水草を成長させることができます。ここで重要な点は、一般的に水草と呼ばれている植物は、水中と水上(水の外)ではその形が違っています。水中の姿そのまま水の外で成長するわけではなく、形態変化が起こるため、水草を水の外の鉢に植えたらOK、とはいきません。おそらく八割以上の水草は、自ら出してそのまま土に植えると干からびて枯れてしまうでしょう。実は、水上栽培を行うためには少しだけ「コツ」が必要なのです。これまでに数種類の水草の水上栽培を行った経験から、大事な水草を枯らさずに水上化する方法を書いていこうと思います。 

準備


水草は水の外で生育できるとはいえ、半分水に浸かっているような場所や、水はけの悪い土の上などを生息域にしている水草が多いです。そこで、まずは湿度が十分保たれているような環境を作る準備をしましょう。水草の種類に応じて水を減らす、無くすタイミングが異なりますが、まずは完全に水に浸しておけば間違いありません。屋外であれば発砲スチロールの箱などが、屋内であればキッチントレーなどが安価で軽く、扱いやすいのではないでしょうか。それぞれの容器に2~5センチ程度の花壇の土、あるいは古くなったソイルを敷いて、水をなみなみ入れておけば大丈夫でしょう。 

カバーが重要


上で書いたように準備したら、水草を放り込みます。植えても植えなくても良いです。そのまま放置すると徐々に水が蒸発するため、水面が下がっていくと思います。グリーンロタラなどの有茎草は1~2週間以内に水上化するのでそのまま放っておいても大丈夫です。水が完全に枯れるとダメですが、表面が乾いたくらいでは枯れません。ADAの侘び草でも最後まで生き残るのはこの種類じゃないですかね?その他の水草は、水が蒸発して水面から水草が顔を出したあたりでラップをかぶせてください。透明であればプラスチック、アクリルで良いと思います。密閉具合もそこまで気にしていません。きつきつにラップした場合、隙間が空いていた場合のどちらでもよく育ちます。この方法でうまくいくのがキューバパールグラスと、グロッソスティグマです。キューバパールグラスは、乾燥してしまうとすぐに枯れますが、カバーをするだけで簡単に絨毯になります。グロッソスティグマはカバーなしでもある程度乾燥に耐えてくれ、場合によっては何事もなく増えていくこともあります。ただし、突然調子を崩して枯れてしまうことがあり、そうなると復帰が難しいです。ちなみにグロッソスティグマの場合は肥料だけでなく、光量も多くないと機嫌を損ねるので、日の当たる窓際が定位置になっています。この方法で現在、ハイグロフィラポリスペルマも育てていいますが、順調に大きくなっているので大丈夫だと思われます。 

より湿度を好む水草の水上化


キューバパールグラス、グロッソスティグマ、ハイグロフィラポリスペルマについてカバーしさえすればよいと書きましたが、カバーだけでは不十分な水草もあります。特に陰性と呼ばれる水草は湿度がかなり高くないとしおれてしまうようです。試したのはアヌビアスナナとミクロソリウムの仲間、そしてアマゾンソードですが、これらは軽くラップをした程度の環境では数時間でしなびてしまい、そのまま枯れてしまいました。ですが、少なくともミクロソリウムの仲間は密閉したガラス瓶の中で少しずつ成長していきます。おそらくほかの2つも密閉環境であれば水上に適応できるのではないでしょうか。そのため、貴重な水草の水上化を試す場合には、まずは密閉できる瓶などで湿度を高く保ちながら水上化するのが良いのかもしれません。また、密閉まではいかなくとも、小瓶などにコケを植えて楽しむコケリウムというものがありますが、この環境であればハイグロフィラピンナティフィダも順調に成長しています。コケリウムに、水槽にあったハイグロフィラピンナティフィダをそのまま入れておいたところ、水槽の中(CO2なし)よりも早く育つようです。このように、周りに湿度を保つことのできる他の植物などを配置することで、軽く蓋をした状態でも水上化できる場合もあります。 


水上化したあと


 水上化に成功した水草は、少々の乾燥にも耐えるようですが、よほどのことがない限りはカバーをしたままの方が良い気がします。生息地域を考えると乾燥しても枯れないはずの植物もありますが、やはり人工的な環境では若干弱いのかもしれませんね。

 水上化を上手く使ってコケ掃除


 水槽を維持する上で、コケをどうやって退治するかは永遠のテーマではないでしょうか。お気に入りの水草がコケに覆われてしまい、他の水草に伝染する前に処分しないと、、、というのはよく聞く話です。コケが猛威を振るう水槽は何らかの問題を抱えている場合が多く、コケ掃除をしただけでは解決できないのですが、応急処置の一つとして水草の水上化という選択肢もあります。つまり、コケに覆われた水草を水槽から取り出し、適切な環境下で水上化してやることで、コケのついていない水上化した部分を再利用できる、ということです。実は、最初は水槽のミクロソリウムナローリーフがコケにまみれてひん死状態だったため、ダメ元で水上化を試してみました。するとコケは水中の葉だけで収まり、水上の葉へのコケの付着を防ぐことができたため、もしコケのせいで貴重な水草を捨てようと考えておられるならば、最後の手段として水上化を試してみるのはいかがでしょうか。

 超簡単な種類


上では難しいと書きましたが、水から出して、そのまま水の外ですくすく育つ種類もあります。経験から簡単だったのは、ノチドメとヘアーグラス(ショート)の2種類です。この2種類は特に何も考えずに水から出して植えましたが、問題なく育ちます。これは例外でほかの種類の水草は枯れてしまったので、余っている水草以外はやらないほうが無難です。 

まとめ


 水草をストックしておく水槽を用意できない場合には水上化
 水上化させるときにはカバーもしくは密閉
コケも除けて一石二鳥
例外的に超簡単な水草も